ソフトバンクとMONETが「スマホなんでもサポート号」を発表 富岡市を始め全国10地域で4月中旬より運用スタート

2022年4月4日、ソフトバンク株式会社は、群馬県富岡市役所にて、全国の自治体と連携して高齢者のデジタルデバイドの解消を目指すために、MONET Technologies株式会社の協力のもと、移動型スマホ教室の開催や、スマートフォンの利用料金に関する相談や情報変更などの手続きを受け付けるための車両「スマホなんでもサポート号」を発表しました。

MONETが開発し、ソフトバンクが運用する「スマホなんでもサポート号」

「スマホなんでもサポート号」の運用は、群馬県富岡市など全国10地域で2022年4月中旬から順次開始。スマホを持っていない人やソフトバンク以外の回線を契約しているユーザーも含めて、誰でも無料でスマホ教室の受講などが可能となっています。

「スマホなんでもサポート号」は、MONETが開発した車内のレイアウトを柔軟に変更してさまざまな用途で利用可能な「マルチタスク車両」がベース車両。車内には3人まで着席できる椅子やテーブルを設置し、搭載したモニターやタブレットを使って、オンラインでスマホアドバイザーやカスタマーサポートのオペレーターとコミュニケーションを取ることができます。

車内は3人まで着座でき、別途パーテーションなどでしっかり区切ることもできる
タブレットでオペレーターとつなぎ、自分のスマホの画面も共有しながらレクチャーなどが受けられる

スマホなんでもサポート号は外部から電源が取れるため、エンジンを停車した状態でも車内ヒーターなどに利用可能。車内で使用する電源用に別途大型のバッテリーも搭載しています。ちなみに車両価格は1000万円以上とのこと。

外部電源がとれる
「マルチタスク車両」は車内床面に取り付けレールが設置されており、用途に合わせたレイアウトがしやすい

車内でオペレーターと接続するタブレットは、セルラー版のiPadを利用し、端末それぞれがモバイル回線でインターネットに接続。CPEなどを搭載して車内でローカルネットワークを構築しているわけではないとのこと。

ソフトバンクは、この「スマホなんでもサポート号」を10台用意し、北海道から熊本まで、10地域・13自治体で運用予定。発表会に登壇したソフトバンク CSR本部 本部長 池田昌人氏は「これまでソフトバンクは、自治体からの要望を受けて、自治体の施設や公民館などで、地域住民の方向けにセミナー講師やスマホアドバイザーによるスマホ教室などを開催してきた。しかし、中山間部などの地域においては、公共交通の不便さなどから、高齢者がスマホ教室などの開催場所に集まることが困難なケースが多いことが課題となっていた」と、移動可能なスマホなんでもサポート号を企画した理由を説明しています。

ソフトバンクショップなどでスマホ教室を行っているが、移動が大変のため高齢者には訪問すること自体ハードルが高い

また、同じく発表会に登壇したMONET Technologies 事業推進部 部長 上村実氏は、「マルチタスク車両」について、「すでに医療MaaSや行政MaaSなどで導入されている。たとえば行政MaaSでは、令和4年3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震に際して、り災証明書を発行する車両として、被災地を巡回した」と、すでに十分な実績のある車両ということを説明しています。

「マルチタスク車両」の導入事例

発表会が行われた富岡市は、以前からソフトバンクやMONETとつながりがあり、2020年にデマンド型乗合タクシーの実証実験(愛称:愛タク)を行った際に、配車システム提供をMONETが行っています。

そのほか、富岡市では「スマートフォン買替促進補助事業」として、いわゆるガラケーからスマホへの乗り換えに補助金(3000円)を提供するなど、デジタル化やスマホ化にチカラを入れています。発表会に登壇した富岡市長 榎本義法氏は質疑応答にてこの件について、「職員が前向きな人が多い」と話しています。

発表会に登壇した富岡市長 榎本義法氏(左)、ソフトバンク CSR本部 本部長 池田昌人氏(中央)、MONET Technologies 事業推進部 部長 上村実氏(右)

富岡市以外の地域での運用予定は下記のとおりです。

移動型スマホ教室の開催地域

地域 自治体 運用開始日
北海道 安平町 4月20日
   千歳市 5月(予定)
   苫小牧市 6月(予定)
宮城県 東松島市 5月(予定)
千葉県 八街市 4月19日
群馬県 富岡市 4月18日
岐阜県 恵那市 4月11日
京都府 亀岡市 4月19日
広島県 神石高原町 4月12日
    世羅町 4月13日
愛媛県 新居浜市 4月12日
福岡県 飯塚市 5月(予定)
熊本県 大津町 5月(予定)

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中山 智/Satoru NAKAYAMA

海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

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