KDDIと三井物産は2022年6月9日に発表会を行い、人の流れを中心とした地理空間上の情報をAI分析・可視化ができるデータプラットフォームの提供する、都市DXを推進する新会社「GEOTRA(ジオトラ)」の設立を発表しました。
三井物産とKDDIは2021年3月より、AIやau位置情報を活用し人々の移動手段・時間・目的などを把握・予測可能とするプラットフォーム・分析サービスを開発。GEOTRAでは2022年6月9日から、このサービスを「GEOTRA地理空間分析プラットフォーム」(以下 本プラットフォーム)として提供を開始します。
新会社GEOTRAの株主構成は三井物産が51%、KDDIが49%となり、代表取締役社長には、三井物産から入社5年目29歳の陣内寛大氏が抜擢されています。三井物産は昨年7月から若手でも能力と意欲の高い社員を管理職に登用する「キャリアチャレンジ制度」を立ち上げており、陣内社長はその第1期生のひとりとのこと。
設立背景
近年、都市生活をデジタル技術で豊かにするスマートシティ事業への期待が高まっています。政府が掲げる「Society 5.0」の実現に向け、デジタル技術による生産性向上や事業変革が求められており、企業や自治体がDXの取り組みを推進しています。街づくりにおいては、人流の把握および将来予測が必要となっており、今回のサービス構築と新会社設立につながっています。
発表会に登壇した、三井物産 代表取締役副社長執行役員 CDIO 米谷佳夫氏は「技術面での検証をえて、また様々な業界の皆様から多くのニーズが確認できたことによって、今般事業会社として設立することになりました」と話しています。また今後について「今回のスマートシティは都市のDXですが、これに加えて先日発表したモビリティ分野での共同取り組み、WILLER社への出資などもを含めさまざまな分野で複数の案件で協議を進めています」と説明しています。
発表会ではKDDI 取締役 執行役員専務 森敬一氏も登壇。「データから未来の予測をしていくというのが非常に大切だと思います。このたび三井物産と両社の強みを掛け合わせて未来の街づくりに貢献してまいります。三井井物産のスマートシティ開発を含むインフラ事業の知見、あるいはグローバルな事業展開力。そこに私どもの位置情報のビッグデータ、それからネットワーク、クラウド等の通信インフラの技術力、システム開発、構築、運用、こういった分野で力を合わせて進めていきたい」と話しています。
GEOTRAについて
GEOTRAが本プラットフォームを提供することで、スマートシティ開発などに関わる企業や自治体など、さまざまな事業者の企画・政策に関する意思決定を高度化することを目指します。
GEOTRAでは既に本プラットフォームによるデータを活用し、三菱地所株式会社と共同で丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)のMaaSや街の利便性向上に関する施策検討など、エリアの魅力向上に関する取り組みを開始しています。
また、渋谷区では本プラットフォームを、区が抱える課題を的確かつ迅速に把握するためのデータ収集を進め、区の現状を可視化・分析を行う「シティダッシュボード」(https://shibuya-data.jp/)にも活用されており、区内の移動ニーズやエリア・空間の特性を把握していくことに役立てられる予定です。
GEOTRAの陣内社長は「まずは三菱地所と共に丸の内エリアをよりゆたかにする取り組みを進めていきます。GEOTRAは人流データに関する技術開発サービス提供から開始し、将来的にはリアル空間上も様々なデータに領域を広げ、日本が抱える大きな課題や今後進めるべきアジェンダに対し導く、地理空間データ活用のパイオニアとして強く貢献していことを目指していきます」と話しています。
また発表会終了後には、丸の内勤務者の居住場所分布を可視化するといったGEOTRA地理空間分析プラットフォームのデモが披露されました。