オランダのスタートアップ「Squad Mobility」が開発中の太陽電池で動くコンパクトなEV「SQUAD Solar City Car」(SQUAD)がドイツ・ハノーバーで開催されたHannover Messe 2022(2022年5月30日 - 6月2日)で展示されていました。
【Hannover Messe 2022レポート】SQUADはコンパクトな大きさのEVで、全長2.0メートル、全幅1.2メートル、全高1.6メートル、重量は350㎏です。サイズからわかるように日本では軽自動車の規格内に収まります。展示されていた2人乗り(モデルL6)が基本スタイルで、子供を含む4人乗り(モデルL7)も開発中とのこと。ホイールベースは不明ですが前後のタイヤは車体の長さ方向から若干出ており、最小回転半径は6メートルです。
正面から見ると運転席・助手席の前はかなり広くなっており、前方の視界を遮るものは最小限になっています。小型車ゆえに強度が心配なところもありますが、アルミ製のロールケージで四方を強化し、フロントとリアにはフルクラッシュストラクチャーが採用されています。そもそも最高速度は45Km/h(L6)、70Km/h(L7)。この程度の速度であれば十分な強度を保てるとのことです。
背面から見ると「SOLAR POWERED」の文字が誇らしげに表示されています。なお多くの国では16歳から免許不要で運転できるとのことです(L6モデル)。
ルーフには太陽電池がびっしりと敷き詰められています。この太陽電池を使ってSQUADのバッテリーを1日充電すると、約20kmの走行が可能になるとのこと。なおSQUADのターゲットとする層は1日の平均走行距離が12Kmのため、十分対応できるとのことです。曇りや雨天、急ぎの充電の時はバッテリーを直接コンセントにつないで充電も可能です。
SQUADのバッテリーは小型のアタッシュケース程度の大きさです。SQUADにはこのバッテリーを1個から最大4個まで搭載可能です。バッテリー1つの容量は1.6kWh、4個で6.4kWhとなります。4個搭載したときの最大走行距離は100kmとなります。
Hannover Messe 2022の会場に展示されていたSQUADは実際に走行が可能なモデル。運転はスタッフのみが行っていましたが、車内に入って実際に座ってみることは可能でした。筆者は身長184cmと欧米人クラスですが、天井に頭がつくことなく乗車することができました。ドアも大きく開くので乗降がしにくいということもありません。
運転席はシンプルな構造。なおSQUADはシェアユースも当然視野に入れており、MaaSのエコシステムの一部を担う用途も考えられています。スマートフォンとの連携機能などが実車の発売日にはしっかりと搭載されているでしょう。
助手席側はかばんを前においても視野が妨げられないようになっています。この部分にノートPCを置いて、空いた時間に駐車場ちょっと仕事をする、なんてこともできるといいます。車内が狭いため座席の前面側までも有効利用されているのです。
一方、荷物はあまり積むことはできません。座席の後ろのスペースは168リッター。助手席側のシートを前に畳めば243リッターとなります。またL7モデルは後ろにリアベンチが設置され、1.25メートルまでの子供2名が乗車できます(最大定員4名)。
SQUADは「運転を楽しむ車」ではなく、「手軽にどこにでも行ける」移動機関と言えるでしょう。とはいえかわいらしい外観や無駄を省いた室内空間など、生活を楽しむためのツールにもなりそうです。価格は6250ユーロ(約88万円)で2023年に発売予定。現在予約を受け付けています。個人向け販売だけではなく、MaaSプラットフォームと組み合わせ各国の都市部を中心に普及が進みそうです。