キーワード:MaaS
MaaS(マース)とは「Mobility as a Service」の略となります。
公共交通機関などを使った移動をサービスとして統合して提供するものを指します。
従来の交通手段やサービスにインターネットやスマートフォンを掛け合わせることで、より便利で効率的な移動を実現する、次世代の交通サービスとなります。
初めて出かける場所に行く前、グーグルの地図サービス「Google Map」で検索する人も多いでしょう。最寄りの駅からどの電車に乗り、どこで乗り換えればいいか、運賃はいくらか、目的地には何時に着くかが瞬時わかります。
今後、MaaSが実現していくことで、経路が検索できるだけでなく、その場で切符をオンラインで買えるようになるでしょう(すでに一部路線では購入できますが)。目的地に到着後、周辺にはどんな美味しいレストランがあるかがわかり、その場で予約ができるだけなく、クーポンがもらえて、さらに決済までスマホ上で完結させることも可能になるでしょう。
こうしたサービスをグーグルだけでなく、鉄道や航空、自治体、プラットフォーマーなどあらゆる企業が導入しようとしています。
2015年、ITS世界会議で設立されたMaaSAllianceにおいて、MaaSとは「いろいろな種類の交通サービスを、需要に応じて利用できる一つの移動サービスに統合すること」と提唱されました。
また、国土交通省が掲げる「日本版MaaSの推進」では
MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものです。
と定義づけられています。
とはいうものの、MaaSの展開は各社とも手探りな状態が続いています。ユーザーにどんなメリットを与えられるのか、そもそも便利なものなのか、今後、普及していくものなのか、様子を見ながらサービスを進化させているようにも見えます。
具体的なMaaSをご紹介しましょう。
航空会社のANAでは2021年4月28日より「ANAそらたび検索」というサービスを開始しています。航空券の購入を検討されている人に対し、希望するスケジュールや条件にあわせて、ANA便と地上交通を組み合わせた経路を案内するというものです。ANAウェブサイトと連動した航空便の空席状況や料金を確認でき、シームレスに航空券の予約が可能となります。
これまでは、東京から大阪・梅田に行く場合、リムジンバスに乗る際は、乗る直前に自販機に行き、切符を購入すると言ったことが必要でした。
ANAのサービスであれば、航空券を予約した際、ターミナルや保安検査場や運行状況がわかるだけでなく、空港までの鉄道やバス、タクシーなどもその場で予約、購入できるようになっています。
いちいち、別々のサイトにアクセスして予約する必要がないので、とても便利です。
また、購入にはマイルが加算されるため、便利でさらにお得というわけです。
また沖縄では「沖縄MaaS」というサービスも提供されています。
沖縄都市モノレール「ゆいレール」の乗車券と、観光スポットの入場券などがセットになっており、スマホで購入し、スマホの画面をかざすだけでゆいレールに乗れるというものです。
こうしたサービスを提供することで、ユーザーはこのサービスを旅行ガイド的に使い、様々な観光スポットを回遊してくれることになります。
また、サービス提供側はユーザーがどのようなルートで観光したか、といったビッグデータを収集することも可能となり、観光地をどのように活性化すればいいのか、という改善点を得られるようになります。
ユーザー登録する際、個人情報の保護をしっかりと約束した上で、年齢や性別、居住地なども登録してもらうことで、どういった属性の人が、どの観光地を好み、どういった食事をするのか、どれくらいの金額を観光地に落としてくれるかなども把握できるでしょう。
「人の流れを読む」という点においてもMaaSは期待されているのです。