椿本チエインはV2Xに対応したEV用充電ステーション「eLINK DC」と、可搬式の外部給電器のプロトタイプを第18回 スマートエネルギーWeek 春(2022年3月16日-18日、東京ビッグサイト)で展示しました。
椿本チエインは2013年にEVの充電だけではなく、EVの電力を公共設備やビルに給電できる電力システム「eLINK」を発売しています。2019年にはVPP(バーチャルパワープラント、仮想発電所)としての機能拡充を図り、V2Xへの対応を図りました。停電時の非常用電源や平常時の電力ピークカット用V2B対応充放電装置として、すでに公共施設などで採用されています。
eLINK DCはEVを直流給電システムに直接接続することを可能にしたもの。太陽光発電や蓄電池などの直流機器とEVのバッテリーを直流のまま相互接続し、一括交流変換することで電力変換ロスを抑え省エネやCO2削減を可能にします。eLINK DCは2021年7月から発売されており、主な特徴は以下の通り。
1.入出力電圧範囲が広く(DC240~410V)、システム設計が容易
2.通信インターフェイスとして、UDPおよび産業向けのModbusTCPに対応し、高応答・高精度で充放電制御をスマートに実現
3.総合変換効率95%を実現
4.適用システムに応じたIoTゲートウェイ、カード読取器などの組み込みが可能
5.タッチパネルによるユーザ認証や運転状況の確認が可能
6.CHAdeMO認証「V2H protocol Ver2.1.1」取得済み
新しく開発された可搬式の外部給電機はV2L(Vehicle to Load)に対応した製品で、eLINK DCの特徴を継承。EVから充電し、工場などの汎用インバーターに接続し、停電時などの非常用電源として利用できます。また回生電力の吸収による蓄電にも対応します。なお参考出展品で販売時期などは未定です。
サイズは全幅800 x 全高500 x 奥行400mm、重量約60㎏とスーツケースをやや大型化させた形状。付属のケーブル長は3.7m、定格出力は10kW。3台の並列利用に対応し、並列時最大30kWの出力が可能です。EV側直流電圧範囲はDC150から450V、出力側直流電圧範囲はDC240から410V。
市販のハイブリッドカーなどには100Vの電源ソケットが備わっており、車から家電製品への給電を可能にしたものもあります。椿本チエインの可搬式外部給電器はその規模を工場など高電力ユースに対応させたもので、EVの活用範囲を大きく広げることができます。