韓国のソフトウェア開発企業、ハンコム(Hancom、ハングル&コンピューター)がMaaS事業展開を本格化するために「hancomCarflix(ハンコムカーフリックス)」を設立し、韓国国内でプラットフォームベースのモビリティーサービスを強化する動きを見せています。同社の事業報告書によると、2020年10月にITソリューションを提供するグループ会社のハンコムMDSは、ネイチャーモビリティと共同でhancomCarflixを設立しました。両者の出資比率はハンコムMDSが55%、ネイチャーモビリティーが45%となっています。
ハンコムはPC向けオフィスソフトウェアから出発し、現在も「ハンコムオフィス2022」などをリリースしています。グループ企業を含めた総合的なソフトウェア開発企業となっており、2021年の売上は1153億ウォン(118億円)、営業利益437億ウォン(約45億円)で、それぞれ前年比5.4%アップ、34%アップと事業は好調です。
2022年1月にラスベガスで開催されたCES 2022ではハンコムグループが出展、メタバース空間「ハンコムタウン」、グループ会社のHancomFrontisが3Dベースメタバースプラットフォーム「XRPandora」、HancomWITHがメタバース空間内向けNFTショッピング「アロワナモール」などを紹介しました。ハンコムはトレンドを先駆けたソリューション開発で業界をリードしています。
ハンコムMDSは子会社「ハンコムモビリティー」はIoTを使った駐車共有プラットフォーム「パーキングフレンズ」を韓国内で展開しています。パーキングフレンズは個人や企業の空き駐車場をスマートフォンアプリでシェアできるサービスで、貸主には収益を、車の運転者には目的地に最も近く、価格の安い駐車場所を提供します。個人の駐車場にも駐車車両用のセンサーを提供することで、駐車車両の無人対応を可能にします。
一方ネイチャーモビリティーはAIとビッグデータをもとにレンタカーの価格比較や電動キックボード予約、駐車場空き案内などの統合サービス「Zzimcar」を展開しています。
hancomCarflixは両社のサービス・プラットフォームを融合することでシナジー効果を生みだし、ユーザーフレンドリーなMaaSプラットフォームを展開する予定です。韓国では感染症拡大の影響もあり、2021年はレンタカーの利用者が急増。観光用途ではなく公共交通機関の利用を避けた短距離利用・長期契約者が増えたといいます。レンタカー業者の再編や予約プラットフォームの整備、料金値下げなど競争は激化しており、消費者が最適な移動手段を選ぶためにMaaSの普及も本格化しようとしています。